ITエンジニアのドイツ(特にベルリン)就職の魅力やハードルを8つのポイントで解説

こんにちは、リンガルボックスの手島(@atsuhio)です。

本日は、ドイツのスタートアップにエンジニアが就職することについて独自に調査した結果を書いていきます。ドイツと書きましたが、以下で述べる通り、ドイツのスタートアップはほとんどがベルリンに集中していることや、国際都市で英語が通じやすいことなどから主にベルリンについての記事となります。

1. ベルリンはヨーロッパのスタートアップ都市

世界的に有名なスタートアップのエコシステムのランキングでStartup Genomeというものがあります。エコシステムは日本語に訳すと生態系ということです。生態系とは何かというと、VCやエンジェル投資家の数や質、エンジニアなどのハイスキル人材の数、起業家コミュニティの大きさなどスタートアップが成功しやすい条件が揃っているかについて言います。投資家が十分いないと投資が十分な額受けられないので、途中で力尽きるし、エンジニアが採用しづらいと良いサービスが作りきれず上手く行きません。

このスタートアップゲノムはほぼ毎年ランキングを出しているのですが、ヨーロッパではロンドン、そしてベルリンが毎回上位に入ってきます。特にイギリスのEU脱退が決まってからは更に勢いを増しているのがベルリンです。

こちらはThe Next Webより抜粋したスタートアップ都市のランキングです。

ベルリンは今年2つ順位を挙げて7位につけています。特にマーケットリーチと人材の豊富さ(Talent)が評価を受けているようです。

実際にベルリンのスタートアップ数は年々どんどん増えています。

これについては、アーネスト・アンド・ヤングの出している以下の資料が大変参考になります。

Venture Capital and Start-ups in Germany 2016 VC Trends initiative by EY

以下の画像はこの資料からの抜粋です。

ここにある通り、ドイツにおいて大きな投資100件の内44件は2012年から2015年の間で行われています。また100件の内63件はベルリン起業への投資です。

また、こちらのMediumの記事ではベルリン拠点の2社のVCがベルリンのスタートアップの現状についてまとめています。

Startups and VC in Germany, 2017 Edition

Startups and Venture Capital in Germany from Frontline Ventures

こちらを見ると、ドイツのシード段階から、もっと上の段階までVCが豊富になっているということや、年平均63%というスピードでベンチャー投資額が増えていることが分かります。

また、ブルームバーグ誌でもベルリンでのスタートアップ投資について取り上げており、上場し50億ドルの企業価値の付いているDeliverlyHeroなどの成功により、よりスタートアップ投資が伸びていると説明しています。

German Venture Capital Soars as Startups Seek Room to Grow

このように、ベルリンのスタートアップ界隈は非常に盛り上がっており、世界で使われるサービスを作りたいと考えている方や、英語を使って働きたいという方にとって非常に魅力が高いといえるでしょう。

2. ベルリンの著名スタートアップ

N26

N26は店舗を持たないアプリ完結の銀行を運営しているスタートアップです。ミレニアル世代を中心に人気のあるサービスです。これまでに5500万ドルを集め、50万以上のアカウントが既に開設されています。

GetYourGuide

GetYourGuideもベルリンに拠点を構えるスタートアップ企業で、現地オプショナルツアーの販売をしています。2008年の創業からこれまでに9500万ドル以上を調達しており、現在では31340のツアーを提供しています。(2017年9月時点)
2016年からドイツに移住し、「たびのーと」というブログを運営する、斎藤あゆみさんという方が勤めています。以下のインタビュー記事では、この会社での働き方など記載があります。興味がある方はご覧になってはいかがでしょうか。

どこにいても稼げる未来を目指して~ベルリンで第一歩

Trivago

YouTubeで2400万再生(2017年9月時点)を出世したCMで、日本でも有名になったホテル料金比較サイトTrivagoもベルリンに拠点を持ちます。2005年の創業後、2012年にExpediaが60%程度の株式を取得、昨年12月にナスダックに上場しました。

その他

これらの企業の他、Deliverly Hero、SoundCrowd、Zalando、Wunderlist、など数多くの有名スタートアップが存在します。また日本企業のグッドパッチはヨーロッパの拠点としてベルリンに支社を構えています。以下の記事ではグッドパッチがなぜベルリンにオフィスを出したのかをグッドパッチ代表である土屋尚史氏が詳しく説明しています。

ベルリンにオフィスを出した理由

3. ドイツのITエンジニア需要状況

どの国でもそうですが、まずは自国民の採用を優先させ、人の足りない分野で他国の人を採用していきます。そのため需要と供給のバランスを見ることが重要かと思います。

これについては、先に結論を述べるとエンジニアはドイツでは足りておらず、国内だけでなく国外からも積極的に採用しているようです。

例えば、NYTimesでは2013年時点でドイツでIT関連の求人を一つ埋めるのに平均して114日がかかるというデータがありました。上述の通り、ドイツでのベンチャー投資はどんどんと増えていること、また周辺のヨーロッパ諸国も現在は良くなってきていることを踏まえると現在はもっとかかっている可能性もあります。

参照: Short of Skilled Hands, Germany Looks South

また2016年Computer Weeklyはドイツの企業の内60%がITスペシャリストが不足していると感じているとアンケートに対して回答したというデータを公表しました。

参照: Fears of software skills shortage in Germany and the Netherlands

4. ドイツ語は必要なのか?

これについては、Quoraでドイツで働くITエンジニアが何人も意見を述べていました。これらをまとめると、ベルリンでは外国人エンジニアが多く、企業も英語のみで問題ないことが多い。またドイツ語が必要かどうかなど明記している場合がほとんどのため応募前の段階で英語のみで大丈夫か確認出来るとのことです。

ただ、英語だけで大丈夫だからといってドイツ語を学ばなくても快適に暮らせるということではないとのことです。多くのローカル向けWebサイトはドイツ語のみで表示されていることがその理由の一つとのことです。

これについては、ドイツのIT企業で実際に働いているYuta Miyamaさんのこちらのブログ記事が詳しいので是非読んでみるのが良いでしょう。

ベルリンにて転職しました。

記事によると、最初にYuta Miyamaさんが働いていたIT企業は英語だけで良いよと言われていたものの、重要な意思決定についてはドイツ語が使われることが多かったそうです。そのため、後から何が起こったのか確認するという作業が毎回発生し、ストレスだったということです。ただ、ベルリンの場合、そういう場合に「英語だけでいい」会社に転職するということが出来、実際にそういう会社に転職されたということです。(会社名はChartMogulとのこと)

これらのことから、ドイツ語は最初は知らなくてもよく、実際に暮らしてみてもっと長く居たいと考えだした段階でドイツ語を学ぶのでも良いのでは、と個人的には思いました。

5. ベルリンの暮らし

これについては上述のYuta Miyamaさんの記事など実際にベルリンに住む方の記事を読むのが一番良いかと思います。

たびのーと

上述の斎藤あゆみさんによるブログです。英語の学習方法や、海外就職のこと、ベルリンのことなど多くのブログ記事が公開されています。

zakisan’s blog

上述のYuta Miyamaさんのブログです。紹介した転職に関する記事の中ではベルリンの暮らしやすさについて詳しく述べられています。転職先の会社での話も記事にする予定のようなのでFeedlyなどで更新を待つと良いかと思います。

WSBI

ベルリンに新卒でフリーランスとして移住したWasabiさんの運営するブログです。ベルリンの住まいの探し方や、税金のことなど特にフリーランスとした働く人に役立つ記事がたくさん挙がっています。またTED✕Youthでは、「自分のやりたいこと」をして生きていくことについて話していて、ベルリンのことを知るだけでなく今後どうやってキャリアを作っていこうか、と悩んでいる方には是非読んで頂きたいブログです。

Serial Foreigner

ベルリンを拠点にテックライターとして活躍されている佐藤ゆきさんのブログです。

こちらの記事では、日本人になぜベルリンへの移住を薦めるのか詳しく書かれています。

日本人の海外移住先としてベルリンをおすすめしたい6つの理由

こうしたドイツ在住の方の意見をまとめると、ベルリンが住みやすい理由として家賃が安く、部屋が広い点、のんびりした雰囲気、外国人に寛容な点、などが挙げられています。

6. ドイツでのITエンジニアの給与水準は?

Glassdoorによるとソフトウェアエンジニアの場合だと、42000ユーロから70000ユーロで平均が54000ユーロとのことです。上級エンジニアだとこれが50000ユーロから81000ユーロ程度となります。

Quora上でITエンジニアが回答していた中でも最初は40000(恐らくユーロ)から始まり、スキルがあれば80000以上になるということが書かれていました。

参照: Is it easy to find a job as a software engineer in Germany? What’s the average salary?

日本の場合ですが、こちらのDODAによる調査ではSE・プログラマの平均年収が467万円とありました。ドイツの平均の54000ドルは2017年9月時点で710万円程度なので、額だけで見ると調べたデータでは日本よりもドイツが50%近い多いことになります。

ただ、ドイツは税金が日本より高いことや、東京よりも生活コストは低いなど違いがありますのでそれを勘案して考える必要があるかと思います。

7. ベルリンでの求人案件の探し方

Quora上ではこちらのサイトがオススメされていました。また、Yuta Miyamaさんは、このサービスで1社目の就職先を発見したそうです。

BERLIN STARTUP JOBS

また、上述のYuta MiyamaさんがオススメしているのがHoneyPotというサービスです。

HoneyPot

HoneyPotはエンジニア向け求人に特化した求人サイトで、サイト上に登録すると企業側からオファーが金額とともに届くようです。Yuta Miyamaさんの場合は3ヶ月で10社と話し、その内5社から内定が出たそうですが、その内半分ほどはこのサービス経由の企業だったそうです。

AngelList

AngelList上にも多くのベルリンのスタートアップ企業の求人が掲載されていました。先程検索したところ542社の求人案件が掲載されています。色々なキーワードでフィルターをかけてみたところ以下のようなデータが出てきました。

Java: 50社

Go: 6社

Ruby on Rails: 41社

Python: 57社

Node.js: 37社

Javascript: 97社

React.js: 56社

iOS Development: 24社

Android: 19社

DevOps: 52社

 

また先程紹介したWasabiさんが、ベルリンの仮想通貨関連スタートアップ企業関係者と話をしたとのことで、情報をいただきました。
ベルリンはLISKという名前の仮想通貨発行元の本拠地で、ヨーロッパでも特にブロックチェーンスタートアップが非常に盛り上がっているようです。そのため、この業界では、エンジニアが足りておらず多くの企業が採用を積極的に行っているとのこと。

Wasabiさん自身は、現在ベルリン現地のスタートアップ企業と繋がって、日本人エンジニアを積極的に採用するという企業へエンジニアを紹介する、ということを行っているそうです。「興味のある方はお気軽にコンタクトして下さい」、とのことでしたのでベルリンスタートアップの就職を検討したい、しているという方は是非以下のリンクからご連絡してみてください。


Wasabiさんに相談する

8. 英語力はどの程度必要なのか?

Yuta Miyamaさんは、ブログ内で最初の就職先に採用された理由の一つとして、「英語での意思疎通で困らないこと」を挙げていました。やはりある程度の英語力が求められるかと思います。出来ればTOEICで860点レベル以上で、英会話も出来るというくらいが必要かなと思います。またはTOEIC700点レベル程度の基礎力があれば、ある程度慣れれば会話は出来るかと思うので、20代であればワーキングホリデーなどを利用して現地に飛び込んでみてから英会話に慣れつつ仕事を探すなど出来るかと思いました。実際にYuta Miyamaはワーキングホリデービザを利用してドイツに入ったようです。

まとめ

いかがだったでしょうか。現在、海外就職を検討しているというエンジニアの方がいましたら、是非ベルリンを候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか。またこの記事を見て海外就職を検討するというエンジニアの方が増えると嬉しいです。

また上述の通り、Wasabiさんが、現在ベルリンのスタートアップ企業と繋がって日本人エンジニアを紹介しています。就職のことだけでなく、ベルリンの実態などこのブログ記事以上に詳しい情報が聞けると思うので、興味のある方は是非コンタクトを取って頂ければと思います。


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ライターについて
フィリピンにて2012年8月よりリンガルボックスを運営中。